アジア開発銀行(ADB)
「アジア開発銀行」(以下、ADB)は、第二次世界大戦後のアジア・太平洋地域における経済発展を目的に、1966年に発足した国際開発金融機関です。設立にあたっては、当時の日本の大蔵省(現在の財務省)が深く関わりました。日本は発足当初からの加盟国で、加盟国数は現在67に達しています。当該機関への出資比率は日本と米国がともに全体の15.6%(2017年末時点)と最も多く、以下中国、インド、オーストラリアと続きます。本部はマニラ(フィリピン)、事務所は世界32ヵ所にあり、駐日代表事務所は東京にあります。歴代総裁は日本人で、任期は5年(再選可)です。
主な業務内容は、①開発途上加盟国に対する融資、②開発プロジェクト・開発プログラムの準備・執行のための技術援助および助言、③開発目的のための公的・民間支援の促進、④開発途上加盟国の開発政策調整支援、などです。業務の戦略的目標としては、もともと途上加盟国の開発を中心とした経済成長、貧困の緩和などを掲げていましたが、1999年に貧困削減を最重点とする方針に転換しました。2008年には貧困削減のための長期計画「ストラテジー2020」を、さらに2018年にはこの「ストラテジー2020」の中間レビューなどADBのパフォーマンスの評価を踏まえ、2030年に向けADBが変化するアジア・太平洋地域のニーズに効果的に対応するための取り組みの指針「ストラテジー2030」を承認しました。
ADB最高意思決定機関は総務会(Board of Governors)で、各加盟国につき1名の総務(加盟国の財務大臣など)で構成されます。1968年より毎年開催されている年次総会では加盟国の総務以外に中央銀行総裁、財界、学界、NGOなども参加し、借款や開発協力などの表明、ビジネスセッション、投資誘致PR、シンポジウムなどが行われます。