当研究所のレポートを地域別、テーマ別に検索することができます

イベント情報

2025年1月28日(火)
AIについてのウェビナー「AIが経済や金融に与える影響をどう捉えるか」を開催いたします。お申し込みはこちら

需給ギャップ

需給ギャップはGDPギャップ、またはアウトプットギャップとも呼ばれ、一国の経済全体の総需要と潜在的な供給力の乖離率のことです。一国の経済の現状を把握したり物価の先行きを予測したりするための指標で、各国の政府当局や中央銀行、IMF(国際通貨基金)等の国際機関が推計しています。またギャップ拡大のリスクがある際は、景気の過熱やさらなる悪化を防ぐため、政府や中銀等が政策を講じることがあります。
需要ギャップの推計にあたり、総需要には実質GDPを、潜在的な供給力には潜在的なGDP(「潜在成長率」ご参照)を使用します。算出方法は下記の通りです。

需給ギャップ(%)=(実質GDP-潜在的なGDP)÷潜在的なGDP×100

上記の結果、プラス(実際の需要>潜在的な供給)になった場合をインフレギャップといいます。これは、好況のため現状モノやサービスの需要が供給を超過している状態で、将来物価が上昇する(インフレ)要因になります。そのまま需要が過熱しインフレギャップが拡大する可能性があると、政府や中銀はこれを解消すべく、財政支出の削減や増税、金融引き締め等の政策を通して需要を抑制させます。
一方、マイナス(実際の需要<潜在的な供給)になった場合をデフレギャップといいます。これは、不況のためモノやサービスの需要が供給を下回っている状態で、将来物価が下落する(デフレ)要因になります。余ったモノやサービスを削減するためのリストラや投資の縮小でさらに需要は低下し、デフレギャップが拡大する可能性があると、政府や中銀は財政支出の拡大や減税、金融緩和等の政策を通して需要を喚起させます。
なお需給ギャップについて、材料である潜在的なGDP自体の定義や前提条件、用いるデータ、推計方法が調査・研究機関によって異なるため、需要ギャップの数値も自ずとそれぞれ異なってくることに注意が必要です。