2017年
セミナー「英国にいても日本にいてもわからないBREXITの真実」を開催
2017年11月28日、当研究所は、財務省の佐藤宣之氏をお招きして、「英国にいても日本にいてもわからないBREXITの真実」と題したセミナーを開催しました。佐藤氏は今年夏までの2年間、ロンドンのチャタムハウスにて客員研究員として在籍されていました。その経験を踏まえた上での講演会であったことから、様々な分野から参加者が集まり、熱心に佐藤氏の講演を聴講しました。また、その後の質疑応答も活発に行われました。講演会後は日本酒を供したレセプションが開かれ、講演会の内容にとどまらず、様々な話題までに議論が広がり、参加者との交流がにぎやかに続きました。
「全米ビジネス・エコノミスト会議(CBE)」に参加
2017年11月9、10日、米ワシントンDCで開催された全米ビジネス・エコノミスト会議(Conference of Business Economists、以下CBE)に、当研究所(以下IIMA)の本田理事、竹中客員研究員(龍谷大学教授)、武田主任研究員が参加致しました。
CBEとは、米金融業界のみならず米産業界の主要各社チーフエコノミストが一堂に会し、マクロ経済は勿論のこと、ミクロ(業界動向)についても、それぞれ分析成果を披露・討議する場。70年以上の長い歴史を持ち、NABE(National Association of Business Economics)の設立にも関与したとされる伝統ある組織です。年3回(2月、5月、11月)と開催頻度が多いのですが、多忙を極める彼等がこぞって参加するのは、メンバー間のネットワーキングはもちろんのこと、「広範・高品質で信頼性の高い分析情報」を短時間で効率的に交換できるからに他なりません。
それゆえ、メンバー承認のハードルは高く、初回参加でプレゼンの質を吟味され、メンバー多数の同意を得て加入が認められる仕組みです。米国以外のメンバーが極めて少ない中、旧東京銀行調査部長であった本田理事は1994年から、また、竹中教授も旧東京三菱銀行ワシントンDC事務所長であった2004年にメンバーとなり、帰国後も年1回欠かさずに参加して参りました。今回武田主任研究員が初トライし、無事次回以降の参加資格を認められました。伝統あるCBEの歴史を築き上げてきた諸先輩方の足跡に敬意を表すると同時に、ここで得た情報*をIIMAの分析成果の質向上に繋げ、アジアから唯一のCBE参加機関として、引き続き、バランスの取れた日本情報発信に、鋭意取り組んで参ります。
*会議は参加各位が所属組織の利害制約から離れ自由に討議できることを担保する為、チャタムハウスルール(参加者は会議で得た情報を外部で引用・公開できるが、発言者や居合わせたその他参加者が特定されることを厳に避けなければならない)で運営されます。情報交換が主眼の会議であり、広報目的ではないため、CBEの名が外部に知られることは殆どありませんでした。
JICA研修「南部アフリカ地域開発金融機関のためのプロジェクトバリューチェーンの強化」を実施
独立行政法人国際協力機構(JICA)による我が国のODA技術協力の一環として、2017年10月19日~11月10日にわたり、南部アフリカを中心とした10カ国の開発金融機関の幹部15名が東京開催の研修に参加しました。当研究所は昨年に続き、この研修を日本国際協力センター(JICE)と共同運営しました。
研修は、日本やアジア諸国の経済発展における開発金融の役割に焦点を置き行われました。講師は当研究所職員が務めたほか、学術専門家(大阪商業大学、国際大学、東京大学公共政策大学院、一橋大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学)や、実務経験者(日本政策投資銀行、三菱東京UFJ銀行、IFC(世界銀行グループ傘下の機関)、日本経済研究所)にお引受けいただきました。
視察旅行にはかつて世界銀行の対日融資事業が集中した名古屋を選び、東海道新幹線の乗車、トヨタ工場、四日市火力発電所、愛知用水の見学などが盛り込まれました。また、その他に、アフリカに進出している日系中小企業の千葉工場を訪問し、アフリカへの進出・投資に関する意見交換を行いました。
研修員は今回の研修を踏まえ、自国の開発金融機関の運営能力を向上させることが期待されています。
JICA研修「アセアン地域債券市場整備(Ⅱ)」を実施
2017年9月21日~10月6日にわたり、独立行政法人国際協力機構(JICA)は我が国のODA技術協力の一環として、カンボジア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、イラクの財務省、中央銀行等債券市場育成の政策担当者10名を東京に招き、債券市場の整備を目的とした研修を実施しました。IIMAは日本国際協力センター(JICE)と協働し、研修および交流会を企画・運営しました。
研修では、我が国の金融・債券市場の歴史をはじめ、証券会社・格付機関の役割、関連法・規制、リスク管理、決済システム等、多岐にわたる分野についてのレクチャーが行われました。
講師にはJICA、IIMAのほか、財務省、金融庁、東京大学、アジア開発銀行、日本格付研究所、CLSAキャピタルパートナーズ、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱東京UFJ銀行のご協力をいただきました。期間中、各国の研修員と活発な意見交換が行われました。
研修員にはこの研修を踏まえ、母国における債券市場活性化のための政策を推進していくことが期待されます。
セミナー“Mission Incomplete: Reflating Japan’s Economy”を開催
2017年7月12日、当研究所は、在京の外国大使館、外国中央銀行、その他機関の方をお招きして、元日本銀行政策委員会審議委員の白井さゆり慶應義塾大学教授による、“Mission Incomplete: Reflating Japan’s Economy”と題したセミナーを開催しました。講演では白井教授より、昨今の金融政策の解釈と今後の見通しについて深い分析が提示され、その後のQ&Aセッションでは参加者と活発な議論が行われました。講演会後はワインレセプションが開かれ、講演会の内容に止まらず、様々な話題までに会話が広がり、参加者とともに交流の輪が和やかに展開されました。
「銀行エコノミスト国際会議(ICCBE)」に参加
2017年7月4日から6日までの3日間、フランスのパリで開かれた銀行エコノミスト国際会議(ICCBE/ International Conference of Commercial Bank Economists)に、当研究所の矢口満経済調査部長兼開発経済調査部長及び佐久間浩司客員研究員(京都橘大学教授)が参加し、それぞれ日本経済(デフレからの脱却)、新興国の資金フロー(国内ファイナンスの拡大)について報告しました。同会議は、1937年に発足した世界経済を議論する民間金融機関エコノミストの会合で、年に一回、輪番で世界各地で開催されています。昨年7月は当研究所が東京にて主催しました。
本年は個別テーマとして、人口動態・生産性と経済成長、技術革新・AIと金融サービス、ポピュリズム、脱グローバル化なども取り上げられ、述べ20時間以上にわたり熱心な議論が続きました。また、フランス政府や欧州中央銀行(ECB)の関係者がゲストスピーカーとして招かれ、同国の経済政策やECBの金融政策について率直な意見交換が行われました。
アデナウアー財団主催ラウンドテーブルにて講演を実施
2017年6月9日、武田紀久子上席研究員が、コンラート・アデナウアー財団(KAS)主催による独ザクセン州議会議員訪日団向けラウンドテーブル「日本経済の現状」で、他2名の在京エコノミストとともに「日本のマクロ情勢と金融政策」について、報告を行いました。今回の訪日団はドイツ政権与党であるCDUのザクセン州議会/予算・財政委員会のメンバーで構成されています。「TPP11」の先行きなど通商政策の今後とともに、日本の財政・金融政策には強い関心が寄せられ、ラウンドテーブル終了後の懇親会でも熱心な議論が展開されました。
JICA研修「公共財政管理・公的債務管理エクゼクティブ・プログラム」を実施
2017年5月18日~6月2日、独立行政法人国際協力機構(JICA)は世界銀行と連携し、アジア、アフリカ、中東、及び大洋州の開発国17カ国の財務省幹部職員22名を東京に招き、開発国の公共財政・公的債務管理強化を目的とする研修を実施。IIMAは日本国際協力センター(JICE)と協働し、その企画・運営を行いました。今回の研修は、2016年に続き2回目であり、講師には世界銀行、JICA、IIMAの他、本邦財務省、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ国際投信にご協力を頂きました。また、関西方面にて震災復興に関する財政管理の研修を行いました。
公共財政・公的債務戦略の策定には、各種市場リスクの高度な分析手法などの習熟が不可欠であることは言うまでもありませんが、同時に「高度成長期等の日本の経験を共有する」ことも重要な研修課題となります。IIMAでは研修終盤に交流会を開催し、研修員との活発な意見交換等が行われました。研修を通じ構築されたグローバル・ネットワークが内外金融の安定と発展に寄与することを願うと同時に、研修員には、この研修を踏まえ、母国での健全な公的財政・債務管理のための政策を推進していくことが期待されます。
「ジェトロ主催『英国のEU離脱と日本企業への影響』」にて講演を実施
2017年4月14日、武田紀久子上席研究員が日本貿易振興機構(ジェトロ)主催のBrexitセミナー「英国のEU離脱と日本企業への影響(於名古屋)」にて「英ポンドと金融・マクロ情勢」と題し、講演を行いました。ジェトロが昨秋以降欧州進出日系企業等に対し行った実態調査では、Brexitを受けた今後の検討課題や懸念の第1位が「為替リスクへの対応」でした。英国政府がリスボン条約50条に基づく通知をいよいよ実施し、EU離脱交渉という特異な環境に進む中で、当面、通貨ポンドをどのように考えれば良いか、ポンドを取り巻く諸状況について、相場予想も含め、ご報告致しました。。 ジェトロ内のページはこちら
連続セミナー(第3回) 「中国経済の真の姿を知る:中国における経済成長の源泉とメカニズム」を開催
2017年2月24日、オーストラリア国立大学の宋立剛助教授(Dr. Ligang Song)を講師にお招きして、“In-Depth Analysis - Chinese Economy: On the Sources and Mechanism of Economic Growth in China”と題したセミナーを開催しました。平成28年度のIIMA中国関連連続セミナーの最終回と位置づけられた本セミナーには、中国経済に造詣の深い日本政府関係者や外交官、研究者らが参加し、約1時間の講演の後、約30分間の質疑応答が行われました。中国経済は過去30年間に大きく成長し、現在は中高速成長の時代に移行しています。講師は数世紀にわたる各地域別の経済発展の歴史に触れた上で、中国がこれまで経験した高度経済成長の源泉とメカニズム、さらに中国経済が現在直面している問題について、経済学理論、人口動態の他、文化の観点からも説き起こし、ダイナミックに変化を続ける中国の姿を見事に描き出しました。
※セミナー報告はこちら(Occasional Paper No.35 英語のみ)