2001年度
2001年度のテーマ
1.アジアにおける金融協力
当研究所では2001年度において財務省より2001年1月の神戸におけるASEM財務大臣会議において合意された、神戸リサーチプロジェクトのうち「地域サーベイランスと金融協力の強化」プロジェクトの立案および取りまとめを委嘱され、研究を行ないました。
アジアにおける金融協力は、危機回避のためのメカニズム構築、平常時におけるサーベイランス・メカニズムの導入、プルデンシャル規制の強化、また民間企業の円滑な資本調達を助け域内における経済活動を助ける資本市場の育成など、幅広い地域における協力が必要です。このため報告書のなかで主な提言を行なっています。
この研究成果については2002年7月におけるコペンハーゲンでのASEM蔵相会議に報告が行なわれました。
2.アジア金融市場の研究
当研究所では開設以来、アジアの金融市場インフラの整備状況について調査を行なってきましたが、本年度もこれを継続し、その成果は上述のASEMプロジェクトにも反映されています。
3.ユーロ導入とEUの拡大
ユーロの紙幣導入が2002年1月に行なわれユーロの導入が完了しました。EUは東方拡大のための準備を行なっています。これが世界経済や、通貨体制にどのような意味を持つかについて本年も調査を継続しました。11月には、欧州委員会第10回国際通貨シンポジウム(2001年11月15日開催、駐日欧州委員会代表部との共催)「世界通貨ユーロの登場-日本はどうなる」を開催しました。オケージョナルペーパー11号にその内容を掲載しています。
4.ITと金融
金融取引の様々な分野で取引電子化が進み、大きな金融環境の変化が起こっています。特に証券取引、インターネットバンキングのIT化の欧州およびにアジアにおける調査を行い、今後の金融市場の進む方向を研究しました。
5.我が国によるアジア通貨危機支援の政策評価
財務省よりの委嘱調査として、新宮澤構想を含むアジア通貨危機後の我が国のアジア支援の政策評価に取組み、本年度は準備段階として現地での聞き取り調査およびマスコミにおける取り扱い調査を行ないました。本報告は2002年度に提出の予定です。
6.円の国際化
財務省よりの委嘱に基づき、円の国際化のために必要な施策についての調査を引き続き継続しました。
7.東アジア研究会
財務省よりの委嘱に基づき、東アジア研究の研究会を運営し、特に中国の将来についての報告書を取りまとめました。
8.東南アジア地域金融問題研究会
財務省よりの委嘱に基づき、東南アジア地域金融問題研究会を運営し、報告書を取りまとめました。
9.南アジア経済問題研究会
財務省よりの委嘱に基づき、南アジア経済問題研究会を運営し、報告書を取りまとめました。
10.国際資金フローに関する研究会
財務省よりの委嘱に基づき、国際資金フローに関する研究会を運営し、報告書を取りまとめました。
11.欧州における金融サービスの統合
欧州における金融サービス、金融・資本市場の統合とその影響について、金融、資本市場での取引における変化、「EU金融サービス行動計画」の進捗状況、欧州における証券取引所再編や取引電子化の動向や金融監督の調和の動き、欧州進出日系企業・金融機関の対応―――といった広い角度から考察し、今後の変化の方向性と課題についての検討を含め、報告書に取りまとめました。