2002年度
2002年度のテーマ
1.東アジアの望ましい通貨制度
今後の東アジアにおける望ましい通貨制度として、バスケット制の導入に関する考察を行い、将来的な導入に向けての具体的な方法を提唱しました。またその前提として、中国、香港、マレーシア、シンガポール、韓国の為替相場制度の現状を調査し、その展望を行いました。
2.中国のWTO加盟と金融市場
様々な問題も内包しつつ高度経済成長を続ける中国経済について、WTO加盟1年後における主要なポイントについて調査しました。特に、電気通信、流通、自動車、農業の4部門についての影響、また銀行市場、資本市場、保険市場といった金融市場への影響については市場開放、システム整備、市場インフラ整備といった点に力点を置きつつ分析を行い、今後の課題についても考察を行うと共に、金融政策への影響についても考察しました。
3.東欧経済の新潮流
EUには早ければ2004年には旧共産圏中東欧諸国を中心とした10カ国が新規加盟の予定であり、地理的拡大とともに経済的、社会的多様性が飛躍的に増大する可能性が高まっています。一方、中東欧諸国も経済体制移行の完成と期を一にして、経済・社会安定化のための強固な枠組みを持つことになります。こうしたEU拡大戦略の背景とEUが中東欧諸国に対して行ってきた経済体制移行やEU加盟の為の支援、さらには中東欧主要国の経済状況・課題などを調査しました。
4.東アジア諸国の決済制度
当研究所は、財務省の委嘱に基づき東アジア諸国の決済制度についての調査を行いました。東アジアにおける資本市場育成を目指すにあたって重要な要素であり、かつ取引のベースとなる資金・証券決済システムについて現状の正確な把握と今後の展望等について調査を行いました。また、今後域内の決済システム整備のために地域全体として取り組むべき諸点について考察、提案を行いました。
5.円の国際化
- 財務省「円の国際化推進研究会」事務局をサポートして調査等を行いました。
- 上記の後続研究会として設置された財務省「我が国金融・資本市場の国際化のための研究会」事務局をサポートして調査等を行いました。
6.我が国を中心としたグローバルな資金フローに関する研究会
財務省よりの委嘱に基づき、我が国を中心としたグローバルな資金フローに関する研究会を運営し、報告書を取り纏めました。
7.アジアにおける債券市場研究会
財務省よりの委嘱に基づき、アジアにおける債券市場研究会の事務局を務めました。
8.東アジア研究会
東アジア地域の経済統合及び協力のあり方やその課題等について検討するために、学界、官界等からの専門家による研究会を新たに組成し、その研究成果の取り纏めを行いました。
9.JBICによるマレーシア向けツーステップローンの事後評価
日本のODA、OOFの事後評価については、財務省委嘱による「我が国のアジア通貨危機支援の政策評価」を2002年12月に終了しました。本年度はこれに加えて、国際協力銀行よりの委嘱に基づき、同行がアジア通貨危機の折、新宮澤構想の一環として行ったマレーシア・インフラ開発銀行経由のインフラストラクチャー整備のためのツー・ステップ・ローン型アンタイドローンに関し、その事後評価を行いました。