外国為替リスク
外国為替リスク(以下、為替リスク)とは、為替相場の変動によって企業や個人が保有する外貨建て資産・負債の自国通貨換算額が変化して、利益や損失が生じる不確実性のことです。為替リスクにさらされる可能性のある外貨建て資産・負債を、エクスポージャーと呼びます。為替リスクは基本的には相場の変動によるものですが、それがキャッシュフロー上現われるものなのか、あるいは短期的な変動か、それとも長期的な構造変化という時間軸上の違いで、企業が直面するリスクは以下の様な三つに分類することができます。
① 為替換算リスク
為替換算リスクは、企業の財務諸表に計上された外貨建て資産・負債の評価金額が為替相場の変動によって増減した結果、会計上の損益に影響を及ぼすリスクです。実際に取引を行って損益が確定するまでキャッシュ・フローに変化は生じませんが、企業の経営をしていく上では、企業が保有する債権・債務を各時点で正しく評価することが重要です。
② 為替取引リスク
為替取引リスクとは、為替相場の変動によって外貨建て取引の決済時の円換算金額が取引時の円換算金額から増減し、収益に影響を及ぼすリスクです。決済によって生じる為替差損益は、実際のキャッシュ・フローにも影響します。近年、海外生産を行っている企業が現地での部品調達を進めている理由も、為替取引リスクが業績に与える影響を軽減するためです。
③ 為替経済性リスク
為替経済性リスクとは、為替相場の変動が企業の採算性や競争力の変化など、構造的変化に及ぶリスクです。