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イベント情報

2024年11月5日(火)
脱炭素についてのェビナー「アジアの脱炭素をどう加速させるか~サステナブルファイナンスの新たな取り組み」を開催いたしました。資料はこちら。

期待インフレ率

期待インフレ率は予想インフレ率、またはインフレ予想とも呼ばれ、家計や企業が予想する将来の物価の変動率を指します。期待インフレ率は将来の実際の物価や景気に影響を与えると考えられるため、それらの先行きを予測するうえで重要な指標と言えます。世界の中央銀行の多くは金融政策の方向性を決定する際、期待インフレ率の動向に注目しています。
期待インフレ率の測定方法としては、①家計や企業に対する中央銀行のアンケート調査から算出する、②ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI、固定利付債と物価連動国債の利回り格差)を利用する、③過去のインフレ率の実績から算出する、等が挙げられますが、厳密に計測することは困難です。
日常生活のなかで一般的に表示されている「名目金利」や実際に投資する際の判断材料となる「実質金利」との関係は下記の通りです。

名目金利-期待インフレ率=実質金利(フィッシャー方程式)
名目長期金利-長期の期待インフレ率=実質長期金利
(参考)名目短期金利-実際のインフレ率=実質短期金利

景気過熱抑制等の目的で中央銀行が利上げし、名目金利の上昇につながっても、期待インフレ率が高い場合、実質金利は低いため景気の過熱は続きます(例:名目金利が5%、期待インフレ率が+5%の場合、実質金利は+0%です)。一方、期待インフレ率が低くなれば実質金利は上昇し、景気過熱が収まると考えられます。
逆に、名目金利が低く期待インフレ率もマイナスの場合、中央銀行が景気刺激等の目的で利下げしても、実質金利は高いため景気低迷から脱却することが難しいことがあります(例:名目金利が1%と低くても期待インフレ率が-2%とマイナス圏の場合、実質金利は+3%です)。一方、中央銀行が期待インフレ率を高めることができれば実質金利は低下し、景気を拡大させることができると考えられます。