為替相場制度
為替相場制度は、相場変動にどのようなルールでどれだけ柔軟性を持たせるかで何種類かに分類できます。
固定性の強い制度
①ドル化:自国固有の法定通貨を持たず、他の国の通貨を法定通貨として流通させます。一般にはドルであることが多いので、俗に“ドル化(Dollarization)
と呼ばれます。
②単一通貨導入:ユーロのように複数の国で単一通貨を導入します。
③カレンシーボード制:香港のように、国内通貨発行の上限を保有する外貨準備残高に合わせ、準備通貨と自国通貨の為替相場を固定します。
ある程度柔軟な制度
④バスケットペッグ制:経済関係の深い複数の国の通貨の通貨バスケットを作り、バスケットの価値の変動に合わせて自国通貨を調整するものです。
⑤クローリングペッグ制:インフレ率など特定の経済指標の変化に合わせて為替相場を調整するものです。
バスケットペッグ制もクローリングペッグ制も、一定期間の変数の変化に合わせて定期的に調整することが多いので、実際の運営は、ペッグのターゲットは
ある程度幅を持たせることが多く、このためペッグではなくクローリングバンド制などと呼ばれることがあります。
⑥管理変動相場制:特に相場のターゲット算出の方法を持っているわけではありませんが、当局が適宜介入して、為替相場の水準を適切な方向に誘導するもの
です。適切な方向や適切な水準には、バスケット制のような経済関係の深い他の複数通貨の変動を見たり、内外インフレ格差を見たりしますので、操作の手
法は違っても何を指標として相場水準や方向性を考えるかという原理に、バスケット制やクローリング制との大きな違いはありません。
高い柔軟性を持つ制度
⑦変動相場制:市場の需給に完全に相場動向を任せる制度です。米ドルを含めて主要通貨で実際にこの制度に徹している国はないと言ってよいでしょう。