為替相場変動の予測~その1:ファンダメンタルズの分析
為替相場の変動は経済活動に大きな影響を与えます。そのため、為替相場動向をいかにして予見するか、多くの試みが行われてきました。為替相場の変動にはどのような要因があり、相場の予想では何がポイントとなるのかをみていきましょう。
ファンダメンタルズの分析
相場変動の経済的要因としてまずあげられるのが「ファンダメンタルズ」で、一国の経済活動や通貨の健全性を示す経済の基礎的条件とよばれています。具体的には、財政収支、経常収支、インフレ率、生産性上昇率、経済成長率、失業率などの指標から確認することができます。
経常収支は一国の財およびサービスの国際競争力や景気動向を反映するものです。インフレ率と生産性上昇率はいずれもその国際競争力に大きな影響を与える指標です。財政収支や経済成長率、失業率は一国の経済の好不調のバロメーターとして重要です。これらファンダメンタルズが為替相場の動きを説明する、という考え方を「ファンダメンタルズ理論」といいます。
ファンダメンタルズ理論には、より健全な経済状況にある国の通貨がそうでない国の通貨よりも価値が将来高くなるという考え方がありますが、これは当然のことです。ただしこの考え方は五年、一〇年と長期的にみれば機能しますが、一年、二年といった比較的短期の相場展開を読むにあたっては、ファンダメンタルズに過度の信頼をおくことは危険です。各国経済のさまざまな事象がいろいろなサイクルを描きながら上下動を繰り返す中で、そのサイクルのずれによる為替相場への影響、さらには重大事件の勃発など、短期的にはファンダメンタルズ通りの相場展開にならない要素が為替相場には数多く存在するからです。